第42回 土日は、パパが食卓をマネジメントする 田中尚人
2009/04/15 水曜日
家族を喰わすということは、
文字通り、食卓をマネジメントできなければ、
喰わしていることにならないわけ。
平日の晩ご飯を作れ、とまでは言わない。
いや、作ったほうが楽しいのだけど。
であれば、土日の3食は、お父さんが作る。
休日ぐらいは、食べたいものを「リクエストする」のではなく、
自分でチャレンジして作ってみる。
ママには、「休日はキッチンに立たない権」をプレゼントして、
日頃の親不孝ならぬ妻不孝の埋め合わせをし、
とりあえず目先の株を上げる魂胆だ。
ワークシェアリングとか、ワークライフバランスとか、
意味不明なカタカナも出回っていることだし、
世のパパたちが、明るいうちから帰宅を促されるご時世だ。
「しかたなく」早く帰宅するだけでは、妻たちの眉間のシワが増えるだけだから、
「しかたなく」を「楽しい」趣味に変えるのだ。
だいたい景気が悪い悪いって言ったって、
それは、平均点45点の息子が、
たまさか100点取った時を恨めしげに憶えているのと同じ話。
本来は、45点が平常点、つまり普通の姿。
景気にしたって、不謹慎かもしれないけれど、
今の状態が日本の真の姿なのかもしれない。
弱肉強食を礼賛する気は毛頭ないけれど、
仕事を求める人の数だけ職がある、というのは幻想というか、
すごく非現実的。
全ての人に職を確保できるのは、統制国家に求めるしかない。
本気でそれを望むなら、国家を転覆させるほかないが、
投票率の平均が43%程度の日本の風土では、絶対にありえないお話。
選挙に行かない人は、国や社会に文句を言う権利も放棄しているんだから、
自分や家族に何が降りかかろうが、受け入れるしかないんだよね。
だいたい、仕事をもらう、という発想は、
学校で先生が教えることだけを要領よく鵜呑みする、
受け身姿勢で勉強しているのと同じ。
これからは、「仕事をもらう」のではなく、
「仕事を作り出す」人間が生き残って行くことになるではないだろうか。
従来の「頭が良くて、聞き分けが良い子」では、
太刀打ちできない社会になるに違いない。
金はもらうものではなく、作り出すものであることを、
今こそ父親が子どもたちに教える時が来ている。
要領よくサラリーをもらうことに安住するライフスタイルは、
もはや僕らの子どもたちの時代には通用しなくなるからね。
ということで、家族を喰わすだけでなく、
まずは自分自身を喰わせられないと、生き残れない時代が間近に来ている。
今回は、パパの食欲を刺激する一味違う休日ランチメニューのヒント。
レシピは、滝村パパが専門なので、やや照れるけど、
料理作りは、想像力と着想と試行錯誤を楽しむものだと思う。
口に合わないかもしれないけれど、
イメージの味覚を総動員して読んで下さい。
で、どうせなら、ママが日頃作らない、
あるいは、ギョッと驚くような一品に挑戦すれば、
味を比較されずにすむし、
失敗しても、完成形は誰にとっても未知数なので、
ブーイングも少ないはずだ。
◆ さっぱり焼きそば
まず、麺をザルにあけて、熱湯をかけ、油切りする。
あるいは、鍋にお湯を沸かして、麺を20〜30秒間ゆでて、油切りする。
市販の焼きそばは、蒸した麺にベトベトの油をまぶして、
ほぐれやすく、炒めやすくなっている。
確かに調理しやすいし、子どもたちにもウケるのだが、
どうも胃がもたれるし、一体どんな油をまぶしているのか、薄気味悪い。
ひと工夫して、胃もたれしない、あっさり系の焼きそばを作ってみる。
ソースは、付属の粉末ソースを使わず、パパオリジナルを開発する。
例えば。
オイスターソース、紹興酒、うす塩醤油、ごま油、炒めネギ油を調合したソースの最適な分量を研究する。
ネギ油は、ネギのみじん切りを多めのサラダオイルで焦げるまで弱火で炒めて作る。
具は、豚肉、もやし、キャベツか白菜、セロリの細切りがいい組み合わせだと思う。強火で一気に作ろう。
◆ 蕎麦ペペロンチーノ その1
蕎麦は、乾麺を普段の手順で茹であげたら、冷水でよく洗っておく。
フライパンにごま油を熱し、鷹の爪とニンニク、ネギのみじん切りを炒めて香りと辛味を引き出す。
そこへ蕎麦をほぐしながらジャ〜っと投入し、塩と醤油少々で味つけし、いっちょ上がり。
ブータンでこれを初めて食べた時は、
1年ぐらい日本食を食べていなかったので、
蕎麦を茹でている香りに「くふ〜ん」となり、
日本人のオレに気を使ってくれたんだ、嬉しいなぁ、
と大期待してしまった。
ところが、太麺の蕎麦をシナ鍋でジャージャー炒め出す工程を目にして、
「大事な蕎麦に、な、なんてことをするんだ」と腹が立ち、
更にあまりの辛さに「バ、バッカモン、喰えねえぞ」と絶叫したくなった。
あまりの辛さに、一時的に耳が遠くなる。
辛いというよりは痛い、という表現がぴったりだった。
ブータンでは、ごま油ではなく、ヤギのバターを使い、塩や醤油を加えてなかったので、
辛いだけで、もそもそしていた。
そして…6時間後にトイレで絶叫。辛味はおしりにも効いたわけ。
蕎麦は、部分的にパリッと焦げ目をつけるために、あまりかき混ぜないで、強火で炒めるのがコツ。
◆ 蕎麦ペペロンチーノ その2
次は、更なるアレンジ。激辛なので、子どもにはNGだね、きっと。
先ほどの要領で、蕎麦を茹でて、冷水で洗っておく。
フライパンに、バターをひき、ゆず胡椒を投入し、焦げないようにさっと炒める。
そこへ蕎麦を入れて絡める。
ゆず胡椒は塩味が強いので、味つけは不要だけど、
物足りなければ、醤油を鍋肌にちょっとかける。
皿に盛ったら、しらがネギと鰹節、かいわれ大根で飾り付けて完成。
どう? 旨そうでしょ? 味が想像できるでしょ?
2品とも、蕎麦は油や汁気を吸いやすいので、強火で一気に、がポイント。
◆ レバーのしぐれ煮
これは、ビールのつまみ。
子どもにも案外ウケるので、鉄分補給もできる完全食。
鳥レバーは、冷水でよく洗い、大きければ適当なサイズに切る。
フライパンにごま油をひき、ネギとショウガのみじん切りを香りが立つまで炒め、そこへレバーを投入。
醤油、酒、みりん少々を合わせた調味料を加え、ショウガスライスも加え、汁気がほぼなくなるまで煮る。
すぐに食べず、ある程度冷めてからのほうが旨い。
アクセントが欲しければ、七味とか生ニンニクのスライスも合う。
紹介したレシピの分量を書いてないけれど、失敗を繰り返しながら自分の舌にぴったりの具合を研究してほしい。


1件
たぬき
2009/04/22 07:26
>これからは、「仕事をもらう」のではなく、
「仕事を作り出す」人間が生き残って行くことになるではないだろうか。
こういう考え方、前向きで、すごくかっいいと思います。
なんだか元気が出ます。
お蕎麦のペペロンチーノ、香りが良さそう。
けど、こういうB級っていうんですか、珍妙なレシピが完成するまで、田中パパのご家族がどれだけ試験台になっちゃってるか想像すると、微笑みが出てしまいます。連載がんばってください。