第51回 「子育てパパ力のツボ」 最終回
「オヤジの味」が文化になるために 滝村雅晴

2009/06/24 水曜日

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「あなたのオヤジの味ってなに?」って聞かれたらどう答えますか?

「おふくろの味」ならともかく、「オヤジの味」は聞いたことがありません。

なぜでしょう?

父親は料理をつくらないから?

そんなことはない。僕の父はつくっていたし、父親になった自分も週末よくつくります。娘たちが大きくなったときに、「お父さんの味」を語るネタは十分すぎるほどあるんじゃないかな。

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「おふくろの味」は、お母さんの味。子供のころよく食べた「母の家庭料理」の味。
僕にもおふくろの味はあります。
ひき肉とネギを混ぜ合わせ、塩コショウで味付けし、薄切りの肉を周りにつけて、小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げた「ネギカツ」です。
何を食べたいか聞かれると「ネギカツ!」とリクエストしていました。

先日、無償にこの「ネギカツ」が食べたくなり、実家に電話しました。

「ネギカツやねんけど、どんなつくりかたやったっけ?」

「あぁ、ネギカツ。あれなぁ・・・」

と、材料、手順等聞いてメモをします。

「ネギは多ければ多いほど、私は好きやなぁ」と母。

ふんふん。結構手のこんだカツだったんだ・・・。
料理をするようになった今では、どれだけ手間がかかるかわかります。
だからこそ、非常に感慨深いものが。

電話口で聞いて、その通りにつくった「ネギカツ」がこちら。

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引き肉と、細ネギをたっぷり混ぜたものを、牛こま切れ肉でまき、衣をつくって揚げたもの(最後にレシピ掲載)。

通常のカツより、ふた手間ぐらいかかるイメージ。
味のほうは、間違いなく、僕にとっての「おふくろの味」でした。

そして、この「ネギカツ」をつくって思うことがありました。

今までの「おふくろの味」は、母から娘へ。
もしくは、母から嫁へ、引き継がれているなあと。
だから継承される味は、「母」から「母」になるために、「おふくろの味」が伝わっていく。

もう1つ。「おふくろの味」を継承できるのは、もう一度食べたいと思った「子供」だけ。食べたくなければ、継承されない。

受け継がれたり、新しく生み出されたりする「おふくろの味」。

すばらしい文化ですね。「おふくろの味」。
視覚以上に、味や香りは当時の記憶を思い出させてくれます。

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そんな、素晴らしい文化、父としては、絶対に参加すべきでしょう。
そのためにはパパは2つのことをしなければいけません。

1・自らの「おふくろの味」「オヤジの味」を思い出し、実際にヒアリングして、自分で作る。

食べて育ったわけですから、それぞれ何か思い出があるはず。
思い出して、もう一度食べたいな・・・と思ったもの。
それを直接聞いてつくってみましょう。
はずかしがってはいけません。
文化継承、もしくは文化創出をするわけですから、ひたすら実行に移すのみ。

手のこんだものでなくて、かまいません。
本当に素朴でシンプルなもの。ぶっかけご飯でもいいと思います。

親につくってもらった、もう一度食べたいもの。
それを「お父さん」が実行することで、何よりも「本人」にいろんな気付きがでてきます。

ただ、どうしても、どうしても、記憶の中に、「もう一度食べたいものがない・・・」という方もいるでしょう。
思い出の味があったとしても、苦い思い出で、繰り返したくない・・・。
その場合は、自ら生み出すしかありません。それが次です。

2・自らが料理をして、1品でいいので、自分が食べて美味しい、そして人に食べさせたい料理を作る。

もう一度食べたい「おふくろの味」「オヤジの味」がなければ、自らつくるしかありません。その時に以下の2点を守ってください。

  ・ 自分が食べて美味しい。
・ だから、家族にも食べさせたい。

ありがちなのが、自分が食べて、お腹がふくれて満足・・・で終わってしまうこと。
美味しかったその喜びを、家族にも伝えて共有する。
それがなければ、美味しさは伝わりません。
お家でお父さんが1人でつくって、1人で食べたら、それは自炊です。

常に、家族とこの美味しさを共有したい。
その想いが「オヤジの味」の継承になると思います。

これ、簡単に思えるかもしれませんが、以外に難しいのです・・・
テーブルの上に出されたものを、好きなだけ食べたり、自分のお腹が減ったら、外でパッと食事をして戻ってくる・・・そんな日々を過ごしているパパは、

「食事=自分のお腹を満たすもの」
になっています。

4人家族になれば、自分以外の3人もお腹が減ります。
それに気づけるかが重要です。

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こんなことを書いている僕も、気がつくと自分のお腹だけを満たしかねません。

先日、娘2人が幼稚園にいった後のこと。
夫婦とも、まだ朝食を食べていなかったので、残っていた2つのロールパンを、レタス、玉子、ハムなどを挟んでサンドイッチをつくったとき、自らの腹を満たそうとする自分との葛藤がありました。

残っていた2つのパン。
1つは綺麗で、もう1つはかじった跡が。
綺麗なパンに、ハムやレタスをはさんで食べようとしたとき、残ったほうが妻になるなぁと思い、取り替えました。
そして改めて食べようとしたとき、1枚しか残っていなかったハムを僕1人で食べようと挟んでいるのに気付き、妻用に残しました。
食べ終わった後、満足したので休もうと思った時に、せっかくだから、妻用のサンドイッチもつくろうと思い、1つこしらえました。

とても些細なことかもしれませんが、この行為ができるようになるのに、自分勝手な僕は5年かかりました。
いや、下手すれば、今回もかじったパンを残して1人で綺麗なサンドイッチを残りのハム全部挟んで食べていたかもしれません。

写真

*奇跡的に!?誕生した妻用のサンドイッチ

「オヤジの味」を継承するには、この気づきが必要な気がします。
自分だけでなく、家族と一緒に味わおうという気持ち。

パパのお腹が減っているとき、子供たちもママも減っています。
そんな時、手軽につくって家族のお腹を満たすような料理は、きっと思い出に残るはず。

また、仕事の飲み会で食べた、あの美味しかった居酒屋メニューを、お家で味を思い出してつくる。
そんなパパが増えれば、確実に「オヤジの味」は文化になるでしょう。

みなさんの周りで、たくさんの「オヤジの味」が生まれ、受け継がれることは、ちょっとしたことからはじまると思います。

みなさんの「オヤジの味」、今度つくってみませんか?

「おい、おまえんちのオヤジの味って何?」

10年後の子供たちの会話から、こんな言葉が聞こえたら、「オヤジの味」が文化になった証拠だと思ってください。

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あとがき

4月からはじめた連載を最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
田中パパからお話をいただいたとき、コラム執筆を喜んで引き受けさせていただきました。

振り返って、子育てコープ「子育てパパ力のツボ」の連載を読むと、本当にいろんなパパが素敵なコラムを書いています。
また、いぢちひろゆきさんのマンガは最高ですね。

どれをとってもオンリーワン。唯一無二のパパばかり。

僕が、パパ料理研究家として独立・起業する気持ちが固まったのも、こんなパパたちと出会えたから。

家族を持つパパこそ、大いなる野望を抱き、社会や、家族を豊かにするために、チャレンジするべきだと、今とても思います。

僕らの活動やメッセージを通して、いろんな人がつながり、はじまり、笑顔が増えたら嬉しく思います。

パパズ be アンビシャス

パパこそ大志をいだくんだ!

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田中パパより、本コラムのアンカーを引き受け、大役ではありますが、「子育てパパ力のツボ」執筆パパを代表して、連載を締めくくらせていただきます。

長期間にわたりまして、ご愛読いただき誠にありがとうございます。
また、関係者の皆さま、貴重な機会をいただき心より感謝申し上げます。

子供たちの未来が、笑顔いっぱいに溢れる世の中になるように僕らパパたちは走り続けます。

ビール片手にですけどね!>田中パパ

パパ料理研究家 滝村雅晴

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ビストロパパの「おふくろの味」ネギカツ

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★パパレシピ
牛豚ひき肉(300g)
小ネギ(1束 たっぷりめが美味しい)
牛こま切れ肉(200g)
塩(小1/2ぐらい)
粗挽きコショウ(5ガリガリぐらい)
小麦粉

パン粉
サラダ油
ウスターソース
ケチャップ
キャベツ
マヨネーズ

作り方:
1・小ネギをすべて輪切りにし、ひき肉に加えてよく混ぜ合わせる。塩、粗挽きコショウで味付け。

2・巻きすに、牛こま切れ肉を敷き詰め、小さめのハンバーグぐらいの大きさにした1を上にのせ、肉を巻きつける。

3・2を手でおさえてひらべってくし、小麦粉→溶き卵→パン粉の順につけて、油(160~170度)で揚げる。

4・こんがり揚がったら、少し油を切って2センチ幅に包丁で切る。

5・お皿に、千切りにしたキャベツと、揚げたてのネギカツを添えてできあがり。

カツは、ウスターソース+ケチャップのソースで食べる。

アト辛大人味:
・同じ味でOK

子手伝い:
・キャベツの水切りをする。

ビストロパパ・ポイント:
・周りにつける、牛こまがなくなったら、タネをそのまま、小麦粉→溶き卵→パン粉をつけて揚げる。

・そのまま、翌日のお弁当のおかずに早変わり。

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「子育てパパ力のツボ」最終回によせて 田中尚人

「子育てパパ力のツボ」は、これにてお開きです。
3年間にわたる愛読、ありがとうございました。

僕を含めて6人の原稿は、「読み物」として書かなければならないはずなのに、書き進むうち本人自身がヒートアップしてしまい、読者ではなく、自分自身を慰め、ムキになって正当化し、鼓舞し、ときにはニヤケたりヒヤヒヤしながらも、予想以上に「熱い」ものとなった気がしています。
ブログにしては、長い原稿ばかりだったけど、僕らはかなり気に入ってます。

こんな硬派な原稿とは対照的に、ツボを極めたマンガの笑いが妙なミスマッチというか、マンガのおかげで原稿も読んで頂ける機会が増えた気がしています。
いぢちさん、ありがとうございました。
ブログだけではもったいないので、育児マンガ本にならないかなぁ…。

おおかたのママたちと違い、僕ら育児パパたちには、子どもや家庭のことを語る場が、実はとっても少なく、実は考えてなさそうに見えてもそれをうまく切り出すチャンスもなかなか作れない、というのが現状なんです。

だから、こういう機会を作ってくれた担当の方の着想、思い切りの良さに大感謝しています。
さらに、3年間にわたり、毎回の締切り破りに大慌てで対応してくださった担当の方々には、大変なご苦労をかけてしまいました。ご苦労さまでした。ありがとうございます。

とはいえ、不死鳥…というより、成仏できない地縛霊のごとく、何度もよみがえりを果たして来たこの連載。
「オレにも熱く語らせろ〜ッ!」と叫ぶパパたちが、実は僕らの回りにはうじゃうじゃいるわけで。皆さんからのリクエストがあれば、手を変え、形を変えてまた復活するかも?かもしれませんよ。

この商品へのコメント一覧

2件

モック

2009/06/29 20:53

連載終了なんですね。
毎回楽しみに読ませていただきました。

「唯一無二のパパばかり」

ほんと、そうですね。
いろんなパパの形を見せていただきました!
パパと家族、子育て、家事、ご近所付き合い・・・
の話題が、こんなに熱く、また深いものになろうとは。
マンガも毎回楽しみでした。
またこんな企画があるといいな〜。

info

2009/07/02 22:30

モックさん

ビストロパパです。
コメントありがとうございます!

熱いパパって、いるんですよ。
本当にたくさん。
本当にたくさん。

そんなパパたちが、だんだん
「あっ、熱いパパで全面的にいいんだ!」
「もっとだそう!」
「子供だいすき!」
「料理だいすき!」
「洗濯だいすき!」
「PTA大好き!」

って、どんどんでてくると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!