第22回 パラサイトハズバンドを絶つ 田中尚人
2008/06/04 水曜日

食材の買い出しがとにかく楽しい。
スーパーのポイント5倍の日は、なぜか胸が躍ってしまうし、19時過ぎの半額シールにもかなり真剣に目を光らせる。
生協のチラシを毎週チェックする時は、なぜか鼻歌も飛び出してしまう。
だから、キャベツやほうれん草は○○スーパーのほうが安いけど、魚は○○スーパーのほうが新鮮で安いとか、イングリッシュマフィンやとろけるチーズの底値がいくらなのか、生協の旬の産直野菜や蟹クリームトマトソースやジェノベーゼソースが掲載されるタイミングなんかも妻よりも詳しいと思っている。
こういう買い物をする時は、食べたいもの、というよりは今、冷蔵庫にあるものと組み合わせて無駄なく安くおいしく食べるための献立を描いている。
その意味では僕は美食家ではなくて、「やりくり上手」と評されたい。
妻は間違いなく感謝しているはず。
ところが、レシートを見せても一円すら補填してくれたことがない。
もちろん月末にはきっちり欠かさずに生活費を献上しているのに。
しっかり食べているくせに見て見ぬふりを決め込んでいる。
きっと僕の趣味なんだから、と勘違いしたいのだ。
とはいえ妻に頼まれた買い物は別。前払いでいただいているが。
わが家のルールは、「気がついたほうがやる」というもの。
つまり腹が減ったほうが食事を作る、というもの。
このルールは大失策だった。
ちょっと考えれば、こうなることは明白だった。
朝などは、とうとう死んでくれたか、と勘違いするほど、妻は狸寝入りの奥義を極めてしまった。
休日の3食などは、修行僧のごとく空腹のそぶりは決して見せない。
きっと、どこかに隠しているお菓子を食べているに違いない。
だからといって、妻に対して「ご飯、作ってくれよ」とは絶対に言わない。
それは僕にとって、妻への敗北宣言に等しいから。
(病気の時だけは、思い切り甘えさせてもらうけどね)
それに僕の場合、自慢している割りには、仕事が長引いたりすることも多いし、飲み会もあるし、重度の二日酔いの朝だってあるので、すべてのご飯を用意しているはずはないわけで。
そんな話や、長男の弁当を作ったりする話などを講演で大げさに語ったりすると、会場のママたちは目を丸くして、珍獣でも見ているような反応を示す。
講演後のアンケートには「奥さまはなにをしているんですか?」なんて、普通は面と向かって聞けないような失敬な質問も入っていたりする。
こんなこともあった。
安藤パパと子連れで名古屋からの帰りの新幹線に乗っていた時、通路を挟んで座っていた初老のご婦人から、
「さっきから見ていると、あなたたちは子どもの世話がとても上手ね。失礼ですけど、そういうグルーブの方たちですか?」と尋ねられた。
「・・・そういうグルーブとは?」と聞き返すと、
「あの、なんというか、シングルファザーの会とかの・・・」
「・・・! ちゃんとカミサンがいますよ。ぎゃはははは〜」
あの時は、二人とも涙が出るほど大爆笑したっけ。
そんなこんなで、まだまだ世の中は男子が厨房に入ることや家事をやりくりすることに「いいなぁ」という気持ちはあっても、「ウチのダンナは無理」と諦めているフシがあるのだ。
そこで、本論。
ここからは、ぜひダンナさんにも読ませてほしい。
もちろん異論反論大歓迎だ。
「男は、自立自活できなければ、一人前ではない」
どんなに威張ってたって、どんなに稼いでいようが、どんな家訓の持ち主であろうが、文字通り、家族を食わせ、守り育てる力がなければ、単なる月給の運び屋でしかない。
元気なうちは平日は仕事、土日はゴルフなので、実害は少なく我慢の範囲内なのかもしれないが、金を供給できなくなった定年後は、あっちが痛い、こっちが痛い、ってのも始まり、ただのお荷物でしかなくなる。
家事ができない男というのは、結婚するまで自分のママに衣食住の面倒を見てもらうことで、親にパラサイト=寄生していたわけ。
それは本人にとっては、もう空気を吸うのと同じぐらいに当り前なことなんだよね。
だから結婚後は、ママにやってもらっていたことを、なにもかも嫁に乗り換えるだけのことになるわけ。
パラサイトハズバンドの一丁上がりだ。
ママから嫁への乗り継ぎがヘタな男は、マザコンと呼ばれている。
が、これは単に乗り継ぎの要領がいいかどうかだけの違いで、根っこは同じ。
これは男だけの不徳とは限らない。
女性もこうした男たちの増長に一役買っているだけじゃなくて、知らず知らずにわざわざ導いているふしもある。
特に結婚前の女性は、家庭的であることを匂わせたがるし、男たちはそんな姿の中に「ボクのママ」を探したがる。
結婚前にうっかりやってしまったこんなことが、実はその後のパラサイトハズバンドへの招待状をプレゼントことになるのかもしれない。
1. ピクニックや遊園地デートの時に、手作りのお弁当を持参してしまった。
2. 「お菓子作りやお料理が好きなの」とか言って、彼の気を惹いてしまった。
3. BBQでは、他の女の子と一緒に仕込みと片付けをしてしまった。(当然、男たちは焼いて食って酔っぱらってるだけ)
4. 「得意な料理はなあに?」なんて聞かれて、「肉じゃが」とか「ロールキャベツ」なんていう、男が喜ぶらしい家庭料理ベスト2を答えてしまった。
どうしてこの2品が好まれるのか、僕には未だに理解できない。
つまり「アナタにご飯を作ってあげるのは、わたしナノヨ」的な姿勢を先に見せてしまうことで、ちやほやされた男側としては、「料理=女の仕事」という図式が出来上がり、「ご飯は待ってれば出てくるし、食後はテレビ見てればいい権」の一生分のフリーパスをタダでゲットできることになるってわけ。
主婦を専業としている人は、分担なんだから、それは普通のことだし、ダンナには元気に働いてほしいから家のことで負担をかけたくない、と思うかもしれない。
だけど、よく考えてほしい。
買い物から始まる食事の段取りもわからず、毎日の天気と洗濯物の関係性にも、ゴミの分別も曜日にも気が回らず、子どもの体調の変化にも気がつかない男が果たして自立した親と言えるのだろうか。
自力で生きる能力がない状態を「大人」と呼べるだろうか。
そして、そんな生存をつかさどる基本能力がない人間を世の中に送り出すこと
が親の仕事といえるのだろうか。
断じて違うはずだ。
妻が働いているとか、働いていない、というのは全く関係がない。
そんなパラサイト関係を絶ちきり、立て直すには、かなりの決意とエネルギーが必要だし、今更ウチのダンナには無理よ、などと諦めるのはまだ早い。
とっておきの秘策があるのだ。
どんな男でもイチコロのスーパーテクニックがあるのだ。
知りたい?それなら、次のブログをぜひお楽しみに。
(つづく)

5件
うらら
2008/06/09 21:45
マンガのような話、よくあります〜。父でなくてもハラがたちます!
しかも、せっかく気合いを入れて作った日に限って、こーゆーことが多いです。
「とっておきの秘策」も気になります・・・
まきっぺ
2008/06/09 23:06
どんな男でもイチコロのスーパーテクニック!?
し、知りたい…。
たまに、テレビなどで「大きくなったらパパのお嫁さんになる~」って小さな女の子がはしゃいでいるのを見るけれど、
私は小さい頃、テレビでそういうシーンを目にするたびに、
「私は、お父さんのお嫁さんなんて絶~っ対いやだな…」
って思っていました。
お父さんは
どうして炊飯器の使い方をいつまでたっても
マスターできないのかな
できるようになりたいって、思わないのかな
そんなことを思っていたこともありましたね~、そういえば。
そんな父に母はある時から反撃を開始し、
いまだにしぶとくしぶとく教育を続けております。
私はというと
遊園地デートのときには張り切って
お弁当を作っちゃうけれど(恥ずかしー)
BBQでは男性陣が仕込みや片付けをしているのをしり目に
焼いて食って酔っぱらう独身女性です。
父のような男性には、職場でも、友人でも、恋人でも、
幸い近頃あんまりお目にかからないようにも思いますが、
一緒に暮らすとなると、どうなんでしょうね。
炊事洗濯お掃除、育児もどんとこい、の男性を
パラサイトハズバンド化するなんて
もったいない真似だけはしたくないものです。
トモママ
2008/06/10 10:27
エッセイの続き、早く読みた~い。
結婚して11年間、うちのパラサイトハズバンドにも効き目があるかしら…。
お料理レシピは、読んでいるとほんとにお腹が鳴っちゃいます。
ほんと~に作ってるんですね、田中パパ。それにお買い物まで…。
こういう男性が増えるといいな。うちのは、手遅れかな~。
ふわふわ
2008/06/14 13:17
ほんとにそうですよね。
ふりかけ助かるけど、時々かわいくないです。
年に何回かのパパの料理は、ヒットが多いのもうれしいような
くやしいような・・・
でも、ちょっとづつほめながら回数増やしたいな
ビスケット
2008/06/17 12:05
なるほど~、マザコンの進化形がパラサイトハズバンドなんですね!
これ、すごーく納得しちゃった。
我が家の夫は、台所どころか、子どもの着替えがどこにあるのかさえわからないみたい。よく遊んでくれるのは助かるんだけど。
スーパーテクニック、楽しみにしています。