第32回 悪さする子供と、地域デビューするパパ 川島 高之
2008/10/29 水曜日
【悪のススメ】
「ズルを子供に薦めるなんて、世のお母さんたちには絶対不評よ!」
「ましてや、人の足を引っ張ることも容認するなんて、もってのほかだわ」
前号で、ちょっとしたズル(小ズル)やちょっとしたダマシ(小ダマシ)を子供たちから遠ざけるのではなく、むしろ遊びを通じて経験させるべき、みたいなことをお話した。これに対し、私はカミさんから、上述のように叱り飛ばされてしまった。トホホ。。
というわけで、私が言いたいことをやや誤解している人もいらっしゃるようなので、もう少し「小ズルや小ダマシ」のススメについて、話をしてみる。
ズルやダマシは悪いことであって、やっちゃだめだってことを子供のうちから叩き込むべき。こう考える大人、特にお母さんたちはいると思う。
つまり悪(ワル)や悪(アク)を、子供から完全に排除しようとすること。
でも、「良い子」を作ろうとして、そのために悪を排除するっていうのは正しいのだろうか?
私としては、親や教師が子供たちから「悪」を排除することで「良い子」を作ろうとするのではなく、多少の「悪」を経験させるほうがいいと思う。
理由は3つ。
一つ目は「悪のささやき」。
「悪のささやき」って人間なら絶対に誰しもが持っているよね。もちろん子供たちも。
それを排除ばかりして、絶対に認めないってことになると、逆にいつしか子供の中で悪が一定量を超えてしまい、そのうちに取り返しのつかない悪を犯してしまうような気がするんだ。
つまり、「まあいいじゃない」的な悪をたまには黙認してあげないと、その子が「理屈抜きに絶対に許されない悪」を犯してしまうリスクが高まると思う。
二つ目は「経験させること」。
ズルとかダマシたりとかって、大人がやっても上手く長続きしないし、第一やった後に後悔することって多いよね。
うその上塗りで身動きが取れなくなること、ダマシて得たものを後悔の念に耐えられず返してしまう、なんてこともよく耳にするし。
これを、子供時代に何度も経験させるのだ。
つまり、小ズルとか小ダマシを経験させ、それが長続きしないこととか、後味が悪いことをなるべく実感させ、「もう二度としないよ」という決心を何度も何度も色んな場面でさせないと、その子が「悪」自体を「やったって平気」という人間に育ってしまうリスクが高まると思う。
三つ目は「温室育ち」。
世の中から「悪」が無くなることはありえない。まあ人間社会だから仕方ないのだが、子供をそれから無菌にさせておこうとすると、抵抗力も対応力もつかない温室人間に育ってしまう気がするんだ。
つまり、生きていく上で避けては通れない「世の中の悪」をちょっとずつ体験させないと、「取り返しのつかない悪」の被害者になってしまうリスクがある。
以上、子供のうちから小ズルや小ダマシなどのちょっとした悪を体験させることで、悪のささやきを知り、悪が「わるいこと」だという実感を持たせ、悪から無菌状態にならないようにすることが、必要なのだと思う。
もちろん、子供が犯した悪に対し、容認したり厳しく叱責したりとバランスを取りながら、その恐ろしさや、悪に染まらないための考え方を教えていくのが、我々親の役割でもある。
ついでに、もう一つ。
悪を肯定的にとらえてみることも必要なのではないだろうか。
つまり、小ズルや小ダマシのような「悪」が、子供の創造力を養い、その育成にとって重要だということだ。
サザエさんのカツオ君を思い出して欲しい。
彼は、小ズルや小ダマシの天才で、これら悪に対ししょっちゅうサザエさんに叱られている。
また、イタズラも見方を変えれば小ダマシだが、イタズラの天才ってある意味、魅力のある創造力のある子供の証でもある。
ちょっとした悪さやズルさをしようとする子供は、それだけ「想像力」が高く「創造力」が鍛えられるのではないだろうか。
あと、人間が猿よりも進化した理由の1つが「恋愛感情があるから」らしい。
つまり、恋愛を成功させるためには、ちょっとしたダマシやズルが必要で、それが人間の知恵や知能を進化させたとのこと。
60%程度しかキレイだとは思っていないのに「世界で一番キレイだね」と褒める。
わざとデートに遅れていき相手の様子を伺う。
泣いた振りをして相手の気を引く。
なんとかゴールに向おうと、古今東西、男も女も小ウソ、小ズル、小ダマシの連発だ。
ちなみに、http://ikuji.coop/blog4/?p=65のようなことを少年時代にやってきた田中さん(ブログでご一緒している)は、当時は悪の天才で、今は理想的なパパなのだろう。
どうだろうか?
小ズルや小ダマシが子供にとって重要で必要なこと、お母さんたちからも同意を得られるだろうか。
私も、我が息子に対し、あえてその成長のために小ズルを黙認するケースが多い。
彼が、ズルを1回うまく成功させた。
でも、彼は成功のあとに後味の悪さを味わい、
3回目くらいから、ハラハラドキドキ感が増し、
5回目くらいには、とうとうズルするのを止めてしまう。
これが小ズル黙認の成功パターンだ。
などと言っている矢先、またしても小ズルをした息子、それを容認した私、そして息子と私という二人の男性を叱りつけるカミさんという光景が、先週土曜日にまたもや我が家で見られた。
モノポリーで、カミさんの陣地に止まってしまった息子。
ここでいわゆる賃料という形で、息子はカミさんにゲームの紙幣を払う必要がある。
だが、チョコレートに夢中になっていたカミさんは、息子が陣地に止まったことに気が付いていない。
こりゃ幸いとばかりに息子は、「パパ、早くサイコロを振って。次の人がサイコロ振った時点で、僕は支払う必要なくなるから」って私にささやいた。
私は、「おぬし、やるな」とばかりに、彼の要領の良さ(小ズル)を軽く褒めた。
しかし二人の密談に気付いたカミさんは、「あなた、ズルを褒めていいわけ!?」って私は叱られ、「ズルするならもうやらないよ」って息子は怒られた。
まあ10歳ボウズの小ズルなんて、どうせ直ぐにバレるものだし、
バレたという経験も、また彼には良いことだったと思う。
なーんて、前号の続きが長くなって失礼。
ようやく、今号の本題である、外遊びを通じてのパパ地域参加とそのデビューに入ることにする。
【外遊びはいいことづくめ】
左手の薬指が、ドンドン太くなっていく。
どうやら骨折したようだ。
右足のふくらはぎが、今でも違和感がある。
昨年やってしもうた肉離れの後遺症だ。
左首を痛めたままピッチャーを続けた。
まさかネンザしていたとは知らずに。
というわけで、私は毎年、どこかしらケガをしている。
その全てが、地域活動の一環で参加している子供との野球でだ。
ボードゲームなどの室内遊びも楽しいが、私はもっぱら、外遊びを優先してきた。
息子が幼児のころの外遊びは主に公園でのおにごっこやアスレチックだったが、小学生になってからは、野球、テニス、ゴルフ、スキーなどスポーツが主となった。
そして今は、毎週土日ともに地元の少年野球に、息子と私はかかりっきり。
子供との外遊びをお薦めするのは、言うまでも無く次のような理由があるからだ。
1. パパの地域参加とそのデビューには、外遊びが最適な手段だから。
これについては後ほど述べることとする。
2. 子供にとって外遊びは、最高の「お勉強と経験」の場だから。
塾でのお勉強も大切だが、太陽の日を浴び、外気を体に受け、友達との群れ社会が経験できる外遊びは、子供の心身にとってすばらしい「お勉強」になるはずだ。
3. パパにとって、これだけ安価なメタボ対策、健康対策は無いからだ。
月謝を払ってジム通いするのもいいが、安価で、健康的で、上述のようにいくつもメリットがある子供との外遊びのほうが、効率的なメタボ対策、健康対策だと思う。
4. ママにとっても、パパが子供と外遊びをすることは喜ばしいからだ。
家でゴロ寝をしているのもストレス解消になるが、週末くらい自由に買い物や趣味の時間にママを解放してあげることも、大切なことだろう。
5. 地域社会への協力、社会奉仕的なことにも繋がるからだ。
海外ボランティアに参加するのもステキなことだが、足元の「地域貢献」という意味では、子供と一緒に地域のスポーツやイベントに加わることも、重要だろう。
6. そして、何よりも楽しい
男はいくつになっても少年みたいなもの。プラモデルに凝る大人から野球で怪我しまくる大人まで色々。そして本当の少年(息子のこと)と共に自分も少年になれるなんて、こんな楽しいことはない。
というわけでいいことずくめのパパの「子供との外遊び」だが、その中で上述した1. 「パパの地域参加とそのデビュー」について、もう少し語ってみたい。
【パパの地域デビュー】
私も人のことは言えないが、月~金は、殆どが仕事人間。
平日に息子と一緒に夕食を取ることは、2週に1回程度だし、外で会食するのも殆どが仕事関係(社内懇親とか取引先との会食など)。
このまま定年を迎えたらどうなるのだろう?
そう、よく耳にする「やることが無い」濡れ落ち葉だ。
それが嫌で、定年後に地域デビューするお父さんも多いが、なかなか難しいらしい。
そうだよね、今まで会社関係者としか付き合っていなくて、地元には無関心だった人が、ずっと地元で活動してきた人たちの輪の中に急に入れるはずが無い。
ママたちは、幼稚園や小学校を通じて、地元にたくさん知合いができる。
公園デビューの難しさはよく耳にするが、それでも、パパたちよりは地域デビューの機会は多いだろう。
また、パパたちって、子供の友達の親(パパ)と、なかなか互いに話そうとしないのが一般的だ。
よく、保育園・幼稚園・小学校のイベントで、あっちこっちでママたちが固まっておしゃべりしている一方で、パパたちは、ポツンと一人、二人がただ立っているだけ、あるいはタバコをプカプカしているだけっていう光景が見られるのは、このためだろう。
そんな中、「外遊びとかスポーツ」は、ハードルの高いパパの地域デビュー手段としては最適だと思う。
オシメの取り替え方から安いダイコンのお店など話題豊富なママたちと比べ、パパたちには共通の話題が少ない。
ところが、スポーツとかの趣味となると話は別。いくらでも何時間でも話せるのだ、不思議に。同じ土俵の人とは、酒の一杯でも交わせばもう長年の親友と同じくらいに親しくなるという、男はなんとも単純な生き物なのだ。
だからパパが地域デビューするには、まずは共通の話題がある同じ土俵の人たちに接するのがよくて、その手段の一つが地域での少年スポーツなどの「子供との外遊び」だろう。
で、一度デビューしてしまえば、あとは地域参加やその人たちとのふれあいの楽しさに没頭していくだけだ。私の場合はそれが少年野球チームのコーチという外遊び(あるいは地域参加)だ。
毎週土日、朝8時半から夕方一杯まで、グラウンドで野球のコーチ。
当然、ドロドロになり、顔は日焼けで真っ黒。
家に帰ると疲れきっていて、ビールは上手いは、睡眠は深いは。
コーチたちとの酒飲みも、これまたすっごくいい。
試合とかで昼過ぎに野球が終った時なんか、午後2時くらいから深夜まで飲み明かすケースもある。
野球という共通の話題があるためか、会話は絶えない。
また、子供たちが大好きという感覚を共有しているために、目線が皆同じだ。
更に、仕事がらみじゃないから、自由なフランクな会話で、最高に盛り上がる。
色んな業種や経験を持った人たちと時を共にするってのも、パパの地域参加のメリットでもある。名刺片手に都内のカクテルパーティーで異業種交流会なんかに行かなくても、十分に人脈も広がるし。
まあ、あえてネガティブな側面を挙げるとすると、土曜夜はおきまりの深酒で、日曜日の朝は、多くのコーチたちが酒臭くやや不機嫌で、子供たちに当ることくらいだろう。
(まあそれがまた人間っぽくて私は大好きだが)
あと、泥がたくさんついた靴でマンションの自宅まで戻るために、エレベーターや廊下に泥がテンテンとついていることを、カミさんに叱られるくらいかな。
(マンションの管理人に「お宅の息子さんに注意しておくように」と言われたそうだが、まさか「うちの旦那です」とは言い返せなかったらしい)
そんないいことずくめの地域参画も、自分が好きなことを通じてならデビューし易い。
野球なら、一緒にキャッチボールをやり夜一杯飲めば、もうそこは10年来の親友みたいな会話ができるようになる。
というわけで、外遊びを通じてのパパ地域デビューと地域参画。
是非、世のため人のため子供のためママのために、パパたちは、どんどん地域デビューし、週末は地域の人と子供たちと共に、グチャグチャになるまで「少年に戻って」遊んでみることをお薦めする。
もちろん、体は少年じゃないので、私のようにケガしないように気をつけながら。
そしてママたちは、週末くらいはショッピングや趣味の時間に費やせるようにするためにも、パパを外に開放し少年に戻してあげることをお薦めする。
まあ、洗濯物が増えたり、泥で玄関が汚れたり、ボールでフスマを破ったり程度は黙認して欲しいものだが。


4件
a
2008/10/30 09:07
ズルについて
パパは黙認、ママは怒る、という環境はある意味良い環境なのではないでしょうか。
なぜならズルというのは、「ダメ」だという状況だからこそ、よりスリリングになるもの。
許容されている環境でやるズルよりも、いつバレるかドキドキしながら、色々駆け引きするからこそ活きてくるものではないでしょうか。
完全に無しにするのも面白くないし、逆に許容してしまっても威力半減。
そこそこのバランスが良いのではないでしょうか。
いしあたま
2008/11/02 08:55
父親の役割は、社会のルールを教えること、って一般には言われてますよね。でも、小ズルに関しては、ママが黙認、パパが雷、というのはなんだか絵にならないような気がします。例;小ズル(子供)→「ずるいことは、やめなさい!」(ママ)→「まあまあ」(パパ)→なんとなく微笑ましい。小ズル(子供)→「ズルは断じて許せん!」(パパ)→「このくらいいいじゃないの」(ママ)→なんとなくパパが狭量に見える。・・・なんでなんでしょうかねえ?
パパ大好き
2008/11/02 21:47
私の周りでは、仕事ができる男性ほど、地域やご家庭にもきちんと参加している場合が多いです。
仕事ができる人とか優秀な男性は、それだけバランスも取れているということなのでしょうか。
一番嫌いなタイプは、頭が良くて仕事もできそうなのですが、家庭やボランティアや地域とかに無関心な男性です。満足しているのは本人だけで誰も幸福になっていないことでしょう。
筆者
2008/11/06 07:56
皆さん、コメント有難うございます。
aさんご意見の通り、子どもからズルを完全に無くすのは面白く無い一方、容認しすぎてもだめですね。どのあたりがいいか、これこそ両親のバランス感覚に頼るしかないですが。
いしあたまさんが言われる通り、なぜか子どものズルやいたずらに対し、ママが黙認してパパがカミナリってのは、絵にならないですね。これはズルやいたずらのレベル感、悪さ度合い次第なのでしょう。ちょいズル、ちょい悪にはいちいち口を出さないが、取り返しのつかないこと、どうしても守られるべきことなどについては、パパがカミナリってのがいいのでしょう。つまり「大きなことや基軸についてのみパパが口を出す」スタイルが、最も望ましいのではと思います。
パパ大好きさんのご意見に私も大賛成です。ともかく仕事ばかりの人は、その仕事に関しては優秀なのかもしれませんが、やはり男として、人間としてどれだけ優秀なのかについて、疑問視せざるを得ない人も多いと思います。